小島健治 デジタル・アート ワークス:概略
1980年代エッグテンペラの技法と材料を用いて、中世絵画のスピリッツを現代アートに持ち込んでいる頃、パーソナル・コンピューターは急速に改良発展して行きます。その頃から次第に、コンピューターのアートとしての大きな可能性に気付き、1990年代初頭コンピューターを使用した、知覚、認識、時間の関連を探求するアートを始め、90年代中頃にアートワークは、インターネット・ブラウザー上を中心に展開して行きます。2001年までのそれらの主な作品は、ニューヨーク市ニューミュージアム・デジタルアート部門 Rhizome に保存されました。
21世紀に入ってからは、インターネット・ブラウザー内のアートワークだけでなく、自身のプログラミングによるアートワーク制作のためのアプリケーション開発と、独自のインターネット・プレイヤー開発の方向に向かって行きます。2008年11月5週間にわたりサイバースペースの外に出て、現実空間ニューヨーク市チェルシーのノンプロフィット・アートスペース AC Institute で、サウンド・インスタレーション「サブウエイ・シネステージア展(地下鉄の共感覚)」の展示、同作品は、2009年5月コペンハーゲン市で行われたRE-NEW 2009 デジタルアート・フェスティバルに選出、展示されました。また同作品のために作られた曲は、2009年7月第36回ブールジュ(フランス)インターナショナル・電子音楽コンペティション ネットアート部門に入選しました。2009年11月スイスのバーゼルを中心にインターネット上で行われたPixelstorm賞で、「RGB Values into Music (ピアノ曲 MonaLisa)」 が 名誉賞 に選出され、2010年3月に、ベルリンで開催された前衛音楽のPROCESSフェスティバルで、「RGB Music RENGA: 999 Views of Skyscrapers」が催されました。また同作品は、2010年7月にサンパウロ市で開催される FILE PRIX LUX 賞サウンド部門にノミネートされ、2010年6月25日までインターネット・エキジビションが行われています。
以下は、これまでの主なデジタル作品を、年代順に書きしるしたものです。作品は一部を除いて、インターネット・ブラウザーか、Web アドレスにある小島の開発したアプリケーション、専用プレイヤー、Webブラウザープラグインを、ダウンロードすることで直に作品をご覧いただけます。
小島健治 デジタル・アート ワークス:年代順
Is the Production of Garbage Materials in the 21st Century, still Art?
ゴミのような物質の作品は、21世紀にはまだアートだろうか? 1996 - 2000年
(ニューヨーク市のニューミュージアム、デジタルアート部門 Rhizome に保存)
http://www.rhizome.org/artbase/2706/kenjikojima.com/index2.htm現在のOSとインターネットブラウザーでは、作品をご覧になることはできません。作品タイトルのイメージだけ、ご覧いただけます。
1996年から2000年までのプロジェクト「Is the Production of Garbage Materials in the 21st Century, still Art? / ゴミのような物質の作品は、21世紀にはまだアートだろうか?」は、ニューヨーク市のニューミュージアムのデジタルアート部門 Rhizome に保存されています。むやみに物質を浪費するアートワークを、21世紀の人たちは本当にアートとして評価し、鑑賞できるのだろうかと言う疑問から付けたプロジェクトタイトル。
A Tender Attempt to Accomplish Something Possible in This Impossible.
この世界で成就できるささやかな試み 2001年
(ニューヨーク市のニューミュージアム、デジタルアート部門 Rhizome に保存)
http://rhizome.org/artbase/2706/kenjikojima.com/
インターネット・ブラウザーでご覧いただけます。
911 の衝撃を受けて、岡倉天心の茶の本から取ったプロジェクトタイトル。
・ A Walk of Seconds / 時間の歩行 (on grass / on earth の2作品。インターネットの仮想空間を歩行している時間を提示。再び戻ってきた時は、歩行時間は前回の時間に加算されて行く)
・ In a Grove / 薮の中 (芥川竜之介の薮の中より。静寂の中に潜む擾乱。)
・ 273+_"Part:0/273+- 秒 第0楽章 (after Jhon Cage. ジョンケージの「4分33秒」を下敷きに、時間経過のプラスまたはマイナスを、マウスクリックと言う明確な人の意思で、インターラクティブに操作)。2002年東京町田市美術館主催「Art on the Net展」で、エクセレントアーチストの作品。
・ Creation of Man / アダムの創造 (after Michelangelo. ミケランジェロのシスティナ礼拝堂の壁画アダムの創造のデジタルアート的解釈)
・ The Birth of Venus / ビーナスの誕生 (after Sandoro Botticelli. ボテチェリのビーナスの誕生のデジタルアート的解釈))
・ I'm always on the Web / 私はいつでもウェブにいますから (5作品。インターネット上の様々な意識の空間)
その他
・ 試作: Heavy Materials / Light Materials (インタネットブラウザー上でイメージの重さを体験する試み)
・ 試作:Contraiwise (インタネットブラウザー上で、フィジカルな動きとオブジェクトの動きとの、視覚的な反整合の体験)
Throwing Stones / 石投げ(インターラクティブ) 2001年
(ニューヨーク市のニューミュージアム、デジタルアート部門 Rhizome に保存)
http://www.rhizome.org/artbase/2895/throwingStones/
インターネット・ブラウザーでご覧いただけます。
Into Primeval / Onto the Moon / Into a Pond の3つの仮想空間「原生林、満月のある原生林、水面」に向かって、マウス操作(インターラクティブ)で石を投げる。
Other Time Works / その他の時間を扱った作品 2001年
http://homepage.mac.com/kenjikojima/webArt/timeChanged/
インターネット・ブラウザーでご覧いただけます。
・ It Feels Like Times have Changed, ... (インタネット上、または地球上の様々な時間帯と、自分のいる空間の時間帯)
・ A Silence of Cicadas (経過して行く時間。日時分秒。静寂。音)
この頃から、インターラクティブと同時に、意識的に時間概念を作品に加え始める。
Throwing Stones (the Movie) / 石投げ(ムービー) 2002年
http://www.kenjikojima.com/ts/
インターネット・ブラウザーでご覧いただけます。
上記 2001年の Throwing Stone インターラクティブ版に対して、ムービー版としています。この作品以前は、インターラクティブと言う考えを中心に置いて進めてきたデジタル・アート ワークでしたが、鑑賞する立場から煩わしさを次第に感ずるようになり、時間概念をより作品に取り入れるようになった等の経過から、鑑賞者は視覚的な動きと時間の流れを、ひたすら体験すると言う方向に変化させた作品です。具体的には、通常の映画やビデオは、何度繰り返されても常に始めから終わりまで同じ結末であるのに対して、このムービーは、決められた時間内に投げられる石の数が違う結果を導きだします。3分バージョン(音あり)と、 120分バージョン(無音)の2種類。
JIKANKEI / 時間系不定時法(アートとしてのコンピューター・アプリケーション開発) 2002年〜2007年
http://www.kenjikojima.com/jikankei/indexJ.html
ソフトウエア開発を、現代の意識を司るカルチャーとして捉え制作するアートワーク。プログラムはフリーウエアです (MacOS & Windows)。「時間系不定時法」は、地球上各地の現在のローカルタイムと、その地点での太陽の角度を示すプログラムです。各地の日の出、日の入りのデータは、アメリカ海軍観測所のデータを、インターネットから取得しています。ソフトウエアは、西欧化される以前の日本で使われていたクロックシステム「不定時法(ふじょうじほう)」と、太陽の動きとの関連を表示します。「不定時法」は、日の出から日の入りまでの太陽の方位を6等分して、それぞれに十二支の卯(うさぎ、明け六つ)から酉(とり、暮れ六つ)までを時刻の名称に割り当てています。太陽を基準としたこの時間システムは、春分、秋分前後には、ほぼ2時間ごとに時刻が変わりますが、夏はそれより長く、冬は短い、季節変化で時間の長さが変わる不定時法となります。時間系「不定時法」では、現在の1 日24 等分の定時法と照らし合わせて時間差が分かるよう、デイタイム 12 等分、イブニング12 等分の時間も提示しました。さらにその日の、月の満ち欠けのデータを追加しました。1.6 以降は、不定時法を設定した場所のサテライト・イメージを、Google マップから取得して、バックグラウンドに表示します。1.6.2 からユーザーのいる地点の不定時法のデータを音楽に変換。
String Quartet Pi / 弦楽三重奏 円周率 2004年
http://www.kenjikojima.com/pi/
インターネット・ブラウザーでお聞きいただけます。
コンピュータープログラミングによる作曲。円周率を弦楽三重奏に変換とそのプロセス。
Golden Afternoon / 文字列からの作曲 ゴールデン・アフタヌーン 2004年
http://www.kenjikojima.com/LoopNoMoto/GoldenAfternoon/
インターネット・ブラウザーでお聞きいただけます。
ルイス・キャロルの不思議な国のアリスの巻頭詩「Golden Afternonn」文字列を、自作したコンピュータープログラミングによって音楽に変換。
O-Yuki / 文字列からの作曲 雪女 2004年
http://www.kenjikojima.com/compositions/O-Yuki/
インターネット・ブラウザーでお聞きいただけます。
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の「雪女」の文字列を、自作したコンピュータープログラミングによって音楽に変換。
RGB MusicLab / RGBミュージック・ラボ(アートとしてのコンピューター・アプリケーション開発)2007年〜現在進行中
http://www.kenjikojima.com/rgbmusiclab/indexJ.html
ソフトウエア開発を、現代の意識を司るカルチャーとして捉え制作するアートワーク。幾つものスタディを重ね、結果としての出来上がったアプリケーションはアートワークのコンセプト、メソッド、プロセスとなって、他に発展するアート。プログラムはフリーウエアです (MacOS & Windows)。RGB MusicLab は、イメージ・ファイルのRGB値 (Red, Green, Blue) を、12音階に変換して、MIDI ファイル(またはAIFFファイル)を作り出す、作曲ツールのアプリケーションです。プログラムは、イメージの左上から右下までのピクセルの、ひとつひとつのRGB値を読み取って、RGB値を3音のハーモニーにし、音の長さは明度によって決定します。RGB値の120と121 を中央のC として、RGB値が2ステップ上がる毎、つまり122と123 は半音階上の C# となります。真っ黒つまり R=0, G=0, B=0 は、無音です。
イメージから音楽を作り出すこのソフトウエアは、作曲家が絵画作品や写真を見て、感じたものを音楽作品とするのではなく、直接画像のデータを音符のように読み取って、メロディーを作り出します。
Networked Music Review (現代音楽のレビュー、紹介サイト)の記事
Cult of Mac の紹介記事
RGB Music Space Player 2008年
http://www.kenjikojima.com/rgbmusic/space/
RGB MusicLab のTheatre機能でご覧になれます (インターネット・ブラウザーでは、静止画像と音楽だけ)。
上記 RGB MusicLab から作られた作品集。専用プレイヤーによって、インターネット上にある作品ファイル(ムービング・イメージ、カラーシークエンス、3Dドローイング、音楽)が、再生演奏されます。作品は3方向 1. マスターピース。モナリザ等、過去のアートワークから。2. 小島健治による写真「ニューヨーク市の地下鉄写真集」から。3. カラーパターン、あるいは3次元オブジェクトを、RGBミュージックに変換。
Subway Synesthesia /サブウエイ・シネステージア展 (地下鉄の共感覚) 2008年
http://www.kenjikojima.com/AC/image/
上記の作曲ソフト「RGB ミュージック・ラボ」を、コンセプトとメソッドとして作り出された音楽と、その元にしたデジタル画像の集大成。小島健治による、ニューヨーク市の地下鉄写真集から制作されたRGB ミュージックの作品を、公共のスペースでプロジェクターを使用して大画面で展示した、サウンド・インスタレーションです。2008年11月6日から 12月13日まで、ニューヨーク市チェルシーのノンプロフィット・アートスペース AC にて開催しました。オープニング時のビデオ映像。サウンド・インスタレーション写真。プログラマー・コミュニティ ニュースレターに執筆。Networked Music Review (現代音楽のレビュー、紹介サイト)。
プレスリリース日本語訳:
Subway Synesthesia / Kenji Kojima サブウエイ・シネステージア展(地下鉄の共感覚) / 小島健治
期間:2008年11月6日 - 12月13日
会場:AC [ Institute Unlimited Direct Chapel ]
住所:547 W. 27th St, #519 New York, NY 10001
AC [Direct] での第一回アート発掘シリーズ、「サブウエイ・シネステージア展(地下鉄の共感覚)/ 小島健治」をご紹介します。 日本人アーチスト小島健治による、知覚、認識、数学、技術、音楽、視覚芸術の関連の追求は、1990年頃から始められました。「サブウエイ・シネステージア展」は、ニューヨーク市の地下鉄写真と、RGBミュージックを、AC [Direct] のふたつのスペースを使って展示されます。 小島健治の、2カットづつ組み合わせたニューヨーク市の地下鉄写真シリーズは、「サブウエイ・シネステージア展」のムービング・イメージと、サウンド・インスタレーションの素材として使用されています。視覚と意識とのある種の手引きとして、シンプルな文章が置かれた写真は、沢山のピクセルに浮遊する色彩と音とに解き明かされます。RGBミュージックは、演奏時間調節のため、これらのデジタル写真をプログラミングで、ピクセル数を減らす措置を施してから、音楽に変換されます。 ピクセル数を減らして、モンドリアンの幾何学的絵画のようになったニューヨーク市地下鉄写真のひとつひとつの色彩は、普通の楽譜と同じように、音階のある音符と和音とに相当しています。これらの写真から作られる音楽は、曲に付いてる詩のように、都市の地下に走る地下鉄を、音楽と色彩の世界に導きます。小島は、外面的には喧噪のニューヨーク市から、詩歌と音楽とを掘り起こしています。 「これは絵画や写真の印象ではなく、イメージそのものを楽譜のようにして作曲したものだ」と、小島は言います。 RGBミュージックは、色彩のRGB値を3次元のXYZ値と見立てて、視点をインターラクティブに操作できる3次元ドローイングを、音楽と同期して描画させています。このドローイングの線は、楽譜と写真との関連を、ビジュアル・マップとして認識できる地図のような役割を果たしています。これは、http://www.kenjikojima.com/rgbmusiclab/ に行くと、インターラクティブなプログラムで体験することができます。
小島健治は日本で生まれ、現在ニューヨークに住み、視覚と技術を融合させる熟達したアーチスト、インベンター、コンピューター・サイエンティストです。彼は、自身で開発したオリジナルなデジタル・ツールを通したメディアから、彼のアートワークを作り上げていきます。彼の初期のアートワークであるテンペラ絵画の技術や、デザインからの影響は、現在のデジタル・テクノロジーで、アートを作り出す扱いと同じかもしれません。革新的な技術と、いくつもにまたがる知識に沿って作られた彼の作品は、至る所にポエムとユーモアを思い起こさせます。
小島のデジタル作品は、2000年、2001年にニューヨーク市のニューミュージアムのデジタルアート部門「Rhizome」にデジタルアーカイブされ、また東京町田市美術館の、1999年、2002年「Art on the Net展」では、エクセレント・アーチストに選ばれました。
RE-NEW / ICAD 09 デジアタルアート・フェスティバル 2009年 参加
「サブウエイ・シネステージア展(地下鉄の共感覚)) / 小島健治」が選考委委員会によって選出され、作品のインスタレーションが行われました。フェスティバルには世界中から、約50作品の最先端のデジタル・アートが集められ、コペンハーゲン市内3カ所の会場で、インスタレーション、パフォーマンスが行われ、同時に現代音楽のカンフェランス(ICAD) も開催されました。
期間:2009年5月18日 - 22日
会場:デンマーク コペンハーゲン市 Huset I Magstraede
後援:デンマーク・アート・カウンシル、ノルディック・カルチャー・ファンド、その他
ダイジェスト・ビデオ版「サブウエイ・シネステージア展(地下鉄の共感覚))」
WEBブラウザー用に、RGBミュージック1曲だけに短く編集したものです。実際のアートワークは、10曲+スライドショーを、クリアな3次元ラインのアニメーションで、毎回データからラインを作り出して3次元の角度が変化します。通常のWEBブラウザーではご覧になれません。
2009年 第36回 ブールジュ(フランス)インターナショナル・電子音楽コンペテーション ネットアート部門入選
CONCOURS INTERNATIONAUX DE BOURGES 2009 / Musiques Electroacoustiques et Arts Electroniques, Categorie : tendance Netart
「サブウエイ・シネステージア展(地下鉄の共感覚))」からの応募曲、02-01-02, 06-07-08 が入選しました。
RGB Music RENGA
999 Views of Skyscrapers from Great Lawn in Central Park
New York City Subway, Photographs Spring 2005 - Fall 2007
RGB Musicシリーズ。 このシリーズは下記の写真集を元に作られています。
プロジェクトのページをご覧になるには、プラグインのインストールが必要です。
Photographs: 999 Views of Skyscrapers from Great Lawn in Central Park
写真集:摩天楼九百九拾九景 望中央公園大芝生 2009年夏
Photographs: New York City Subway, Photographs Spring 2005 - Fall 2007
写真集:ニューヨーク・シティ サブウエイ 2005春 - 2007年秋
2009年11月 デジタルアートコンクール 国際 Pixelstom賞
"RGB Values into Music" for a Honorary Mention at the Pixelstorm-Award.
2010年3月 PROCESSフェスティバル ベルリン
サウンド・インスタレーション RGB Music RENGA
ベルリンで行われた二日間のサウンド・システムをテーマとする音楽パフォーマンス・フェスティバル
会場: Ausland, Berlin, Germany
PROCESS Festival の紹介ビデオ
2010年5月〜7月末 FILE PRIX LUX 2010
"RGB Music RENGA: 999 Views of Skyscrapers from Great Lawn in Central Park, New York City"
ブラジル サンパウロ市で2010年7月開かれるデジタル・フェスティバル FILE PRIX LUX にノミネート。
Web エキジビションと、一般による人気投票開催中です。 2010年6月25日まで。
http://www.fileprixlux.org/vote-electronic-sonority.aspx